PCM(パワークールマット)は、28℃で融ける物質(PCM)を使ったクールベストです。
身体に密着させて使用します。体温の上昇局面でのみ冷たく感じられます。
パックが密着した部分から余分な熱が吸い取られ、涼風が吹き込んでくるような感じになります。不安感と身体への負担が減ります。
命がけで暑さと戦わなければならない場面で使われています。
使い方が大切です。身体に密着させたパックが冷たく感じられる程度の運動量を維持してください。オーバーロードすると冷たく感じられなくなり、
急速に疲労度が増大します。
冷たく感じられなくなったら、パックに触り固さが残っていることを確認したうえで、ペースダウンして下さい。冷感が戻ります。
冷感が保たれるように働き方のペースを維持する限り、PCMは所期の機能を発揮します。
PCMは、高温高湿雰囲気で、高性能防護服を着用し、神経の集中を要求される重要作業をせざるを得ない人たちのために開発された
クールベストです。運動量が大きい一般労働は前提にしていません。万能ではありません。
防護服を着用してそのような活動をすると、全身が発熱状態になります。どこからも熱の逃げ道がなく、着用者は
言いようのない不安感にさいなまれます。
しかし胸・脇・背中などの一部から熱を吸い取ると、その不安感が消えます。防護服に小さな窓が開いて、涼風が吹き込むような感じになります。
その風が吹いている限り、さほどの不安に駆られることなく仕事を続けることが出来るような気がします。
理由は不明ですが、活動後の疲れ具合がとても軽くて済みます。但し実験で得られた経験値ですから、学問的に証明されたわけではありません。
パックを傷めない限り、何度でも繰り返し使用可能ですから経済的です。氷と違って冷凍庫での保管は不要です。
冷蔵庫で短時間で固まり機能が回復します。休息時にパックを交換して、計画的に長時間運用をすることも可能です。
密閉性のよい、安全性の高い防護服ほど熱中症対策は必要です。発汗による体温上昇防止が効かないからです。
汗の蒸散作用に代わってPCMは体表面の発熱を吸収し、ゆっくりと融け始めます。融けきるまで、PCMはその温度を持続します。
PCMは28℃前後で固相から液相に相変化します。その時の融解熱として体表面の余分な熱を吸収し、体温の異常上昇を抑えます。
氷の融ける温度は0℃です。PCMでは右の模式図の0℃のところが28℃前後になっているとお考え下さい。28℃で融ける際、1gあたり約35calを吸収します。
人間の安静時の体表温度は31℃くらいです。 活動とともに上昇し、40℃を越えると危険領域に入ります。
普通の氷冷却ベストを使うと、着用時にはとても冷たく感じますが、温度差が大きいため、現場に着くころには融けてしまいます。結露でべたべたにもなりますし、低温ショックの可能性もあります。
PCMはその上昇する温度帯で効果的に機能します。体温との温度差が小さい為、熱吸収能力は長時間にわたって持続します。
使用前に無駄に融けない、体温上昇時に効率よく融けて体温の上昇を防止します。
「28℃なんてちっとも冷たくない」と思われるかもしれません。事実、室温でPCMパックを手でさわっても冷たくありません。手の温度が低いからです。
でも少し身体を動かした後で身体に当てるとPCMは冷たく感じられます。
いわば暑い人には冷たく感じる、HOTでCOOLなPCMです。
PCMは快適さを求めるものではありません。発汗による体温調整が困難な時、体表面から直接熱を吸収します。
PCMは異常上昇した体温の逃げ道です。
冷凍庫に何時間も入れて固める必要がありません
融解点が0℃よりずっと高いPCMは、融ける温度も高いが、固まる温度も高いので、冷凍庫は不要です。
お急ぎなら、パックホルダーごと海や川などの流水に浸けて固相に戻すこともできます。もちろん冷凍・冷蔵庫でもOKです。
時間があれば20℃以下の環境に放置しても固まります。全部が固くならなくとも、固まった分だけ吸熱効果は回復します。
パック内の固体が融けきったら、一旦は機能を喪失します。
しかし、冷やし固めれば何度でも使えます。
保証期間は1年間ですが、インナーパックのフィルムに孔があかない限り、パック本体の機能は継続します。
アウターパックの中はこのようになっています。
冷却材の入ったインナーパックの集合と断熱・断線反射材をアウターパックで包み、真空包装を施しています。
これらを一体にしたものをアウターパックと呼びます。銀色のフィルムで真空パックされています。
パックそのものの構造に、高い熱反射・断熱機能を備えています。断熱ベストは不要で、軽く風通しのよい専用メッシュホルダーに装着します。 薄地のベストだから、そのまま水に浸けたり、冷蔵庫に入れられます。ホルダーから外して、形を整えて凍らせる、という手間は不要です 。
PCMがどんなところで採用・使用されているのかをご紹介します。
なお、PCMは主に、石油精製業・炉の保守業の現場の方々から、絶大な賛辞をいただいております。