オフサイトセンターのための陽圧フィルトリングシステムの設置が計画されています
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安全陽圧空間を設計する際には、まず、建物の気密性と自然風・外気侵入の関係を明らかにすることが必要です |
原子力事故が発生した場合、事故現場から放射性物質が大気に拡散します | |
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オフサイトセンターは事故に対応するための最前線の基地ですから、その周辺には大量の放射性物質が存在することが想定されます
オフサイトセンターにおいては、内部で活動する人々の安全を確保しなければなりません
汚染物質の建物内浸入を阻止する必要があります。必要なのが、陽圧フィルトリングシステムです。
イスラエル・シンガポール・スイスでは公共施設だけでなく、一般住宅までこの陽圧フィルトリングシステムで防護されています。
しかし、隙間だらけの建物にこの装置をつけても陽圧になりません。
ドアファンテストは、この装置を活かすためにいくつかの重要なお手伝いが出来ます。
- 陽圧とは何か?
- 外気圧よりも内部の圧力が高い状態を陽圧状態と呼びます。
- どうして陽圧が必要なのか?
- 魔法瓶のような気密性能100%の建物なら、汚染物質は建物に浸入することはありません
隙間だらけの建物でも、内外の気圧差がなければ、汚染物質は浸入しません
しかし、現実的に隙間の無い建物はありませんし、自然風内外温度差によって気圧差は常に生じます
汚染物質の侵入を防ぐためには、建物内をある程度陽圧に保つ必要があります
- どの程度の陽圧が必要か?
- 外気の浸入には自然風の影響が最も大きいため、自然風で説明します。
5m/秒の風が吹いたら?
- ちょっと強めの5m/秒の風が建物に当たると、 建物内部に15.5Paの気圧差が生じます。
- 15.5Paとは1㎡あたり、約1.5Kg程度の小さな圧力です。
しかし、それをイメージ実感することは難しいし、また隙間風の量に至っては建物ごとに違う
ドアファンテストの一つの役割が、ここにあります。
ドアファンは簡単にセットできます
高性能ドアファンを使えばあっという間に15.5Paに陽圧にすることが出来ます。
ドアファンを使うメリットの一つは、その際に生じる隙間風を実体験できること
- 建物全体から隙間風が入るため、いつもは感じない
- ドアファンの近くでないとわからない、驚くほどの量の隙間風
- ドアファン一箇所に集中させるから実体験できる
- その量を正確に数値化することが出来ることです
気密性能の高い建物であっても、僅か5m/秒の風が当たると、外気がビュービュー入ってくることが実感できます。 全て汚染空気だと考えると何とかしなければならないことが実感できます。
- 一般的な陽圧水準
- それでは10m/秒の風ならばどうでしょうか?
- 生じる内外気圧差は60Paです
15m/秒ならば、140Paと急上昇します。ちなみに風速とバイアス圧の関係は下表のとおりです風速 バイアス圧 5 m/s 15.50 Pa 6 m/s 22.32 Pa 7 m/s 30.38 Pa 8 m/s 39.68 Pa 9 m/s 50.22 Pa 10 m/s 62.00 Pa 11 m/s 75.02 Pa 12 m/s 89.28 Pa 13 m/s 104.78 Pa 14 m/s 121.52 Pa 15 m/s 139.50 Pa 16 m/s 158.72 Pa 17 m/s 179.18 Pa 18 m/s 200.88 Pa 19 m/s 223.82 Pa 20 m/s 248.00 Pa
- 生じる内外気圧差は60Paです
イスラエルではシェルターの一般的な最低陽圧水準は100Paですから、12.7m/秒の自然風が吹いても汚染物質が浸入しないという基準です。
福井のオフサイトセンターでは110Pa以上を目指しています。 ドアファンテストは何をするか?
いつも変動する自然風、季節による気温の変化、100mを超えるような建物の高さ、これらは正確な隙間面積を測定する上での大きな障害です。
2009年に確立したスタンダードとリトロテック社のソフトウェアは、この問題を解決しました。
- 出来ることは以下の3点です
- 正確な隙間面積の測定
- 隙間箇所の特定と改善指導
- 必要陽圧水準を達成するためのファンの選定